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心に風が吹き込んだーレイテ島の旅
羽田ゆみこ

08年8月28日(金)  
セブのホテル・メイフラワーで、フィリピン第2日目の朝を迎える。
午後4時船で、レイテ島オルモックに向かう。アレス牧師、チイコ(と竹見智恵子さんはフィリピンでは呼ばれている)、タカ、彼のガールフレンドのジェネシス、私の息子の直人、それに私。一行6人。
蒸し暑い船室で2時間を耐え、6時過ぎ、オルモックの港に到着。薄明かりの港――。さしのばされる筋肉質の腕と日に焼けた顔。荷物運びの男たちの溢れるエネルギーに迎えられた。
ホテルは港の前、荷物を部屋に置いて、近くのレストランへ。従業員のボーイたちは、客を待つでもなくぶらぶら。「自由にやってよ」といった感じ。で、私たちはサン・ミゲルで乾杯! 鳥のから揚げ、野菜炒め、バターライス、シンプルで美味しい。サン・ミゲルをもう一杯。海からの風が吹き抜ける。
そう、「自由だ 自由だ 自由だ ホイ!」

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8月30日(土)  
いよいよリボンガオ村へ。今日は水牛家族の21周年のパーティがある。
昨日からミディーン・ロペス牧師も加わった我ら水牛家族にストリートの子どもたち13人が参加、村の役員男性二人も招待された。ミセス・ティストンが、子どもたちに歌唱指導をしている。  
ミセス・ティストンはもと校長先生で、現在保育園や小学校を経営し、女性たちの支援のためにお産場所もつくっている。ミディーンのいとこで、リーダーシップがあり、事務能力にたけている。
ストリートの子どもたちも手伝って、ご馳走の用意がすすんでいる。大きな魚の焼き加減をみる子、食器を運ぶ子、ごはんの火加減をみる子。アレス牧師は、バナナの木の記念植樹をし、手の空いている子どもたちが手伝う。
私は、うろうろ。待つこと約2時間、ご馳走の出来上がり! 丘の上り口の手作りのゲストハウスで、大パーティが始まる。清重伸之さんの絵「空飛ぶ水牛」
(注:20周年記念に清重さんが描いて贈ってくれた絵)が正面を飾っている。大釜にいっぱいのご飯、ヌードル、大きな焼き魚2種類、野菜炒め、鶏肉、そしてパン。お水、絞りたてのジュースはのみ放題。このご馳走のスポンサーは、ツァーに参加した直人と私。子どもたちが、ありがとうといってくれる。そして、「十分に食べた?」と気づかってくれて、「メイ アイ ヘルプ ユウ?」と声をかけてくれる。この子たちは、自分では受け止めきれない悲しみを経てきているでしょうに、人を受け入れ、思いやる心をもっている。
食後の散歩はマンゴー畑。丘の向こう側の低地に、水田があり、水田に隣り合った斜面にマンゴー畑が広がる。2メートルほどに成長した木を囲んでみんなで記念撮影。ティムと私とみんなの夢をのせて、大きく育て!

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9月1日(月)
午後、ティストン先生と別れてテラーサ村へ。ゆうべ生れた赤ちゃん水牛を見に行く。お母さん水牛のおっぱいにすいつく赤ちゃん水牛――。おや、もう2頭、野良から帰ってきた。お父さん水牛と1歳のお姉さん水牛。テラーサ村では、最初4頭だったが、14頭に増えた。そして、ゆうべ15頭目。村の人たちが陽気なのは、さっき飲んだチュバ(やしの実のワイン)のせいばかりではない。
1日目に訪ねたミラグロ村は問題を抱えていた。チイコさんと村人は長いこと話しこんでいた。いろいろな人がいて、いろいろな村がある。でも、問題が見えていて、解決していこうという姿勢があれば解きほぐせる。日本は入り組んでしまって、問題の根っこに迫るには気の遠くなる道のりがいる。

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9月2日(火) 
朝8時05分の船で、セブに向かう。レイテとお別れ。日本兵がレイテ富士とよんだ山(ロビ山、マフナグ山ではないかな)が右手に見える。今回バッグに大岡昇平『レイテ戦記』を入れてきた。多くのフィリピン人が理不尽に殺された。そして、無残な日本兵の死。大岡昇平は勇敢に戦った日本兵たちへの深い鎮魂の思いをこめて書いている。『レイテ戦記』は過去の一刻一刻に、読むものを引き戻す。彼がつぎこんだ、時間と叡智の蓄積が私たちをひきつける。しかし、戦争で勇敢に戦うということはどういうことか。よく殺しよく殺される、ということのために、人は生れてくるのではない。何百万の兵士、人びとの死は私たちに訴えている、さまざまなことを。
レイテ島の北のはずれに、レイテ銅精錬所が見えてくる。廃棄物の山が船からみえる。海の汚染、空気の汚染が続いていると、智恵子さんの説明。近代化とはなんだったのか。
レイテの旅の全行程を、ミディーンが付き添ってくれた。彼女はそこにいるだけで皆に安心感を与える。「人は他者によって認識する」 ミディーン、ティストン、アレス、チイコ、ストリートの子どもたち、村の人たち、町の人たち、さまざまな人によって、気づかされた旅でした。ありがとう、チイコさん。

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