水牛家族って? どんなところ? マンゴー・プロジェクト レイテ・グッズ オルモック物語 スタディ・ツアー 水牛家族通信 入会の方法



No.10 ティム君一家の暮らしが始まりました
No.11 トンナゴンの空は泣いていた
No.12 いよいよ土地探しも終盤に
No.13 わぁッ、びっくり!不発弾!?
No.14 小農家組合のリーダー、ヴェロニカさん
No.15 マニラに地主のタンさんを訪ねたけれど……
No.16 急転直下土1地がわたしたちのものに!
No.17 大きい夢に向って、小さい歩がはじまります
No.18 地すべりの村、希望と絶望が背中合わせ
No.19 <地域デビュー>をはたしました
No.20 軍の広報官とご対面
No.21 キャンプ・ドーンの司令部を訪ねる
No.22 フィリピン中で深刻な米不足
No.24 レイテ戦の記憶を無駄にしないために
No.25 ミセス・ティストンのお宅にホームステイ
No.26 ODAで得をするのはだれ?
No.27 ーご近所さんをクリスマス・パーティにー
No.28 破壊が進んだ環境の再生をめざして
No.29 子どもはみんなアーティスト
No.30 抗日ゲリラの歴史・アミハン君の戦争−その1
No.31 抗日ゲリラの歴史・アミハン君の戦争ーその2
No.32 抗日ゲリラの歴史・アミハン君の戦争ーその3



フィリピン中で深刻な米不足


4月、オルモックに着くと、街にはいつもとちがう空気が流れていました。なんとなく人びとの表情が沈んでいます。やがてその理由がわかりました。米不足による不安感が高まっているのでした。

フィリピンはお米が主食です。ところが、そのフィリピンではお米の自給率が低く、主にタイやベトナムからの輸入米に頼っています。ひと昔前は、フィリピンはお米の主要な産地として有名でした。ところが、経済発展の波の中で、田んぼがエビの養殖池に姿を変えたり、宅地や商業地域へと転用されていきました。経済優先、農業軽視の政策が推し進められたわけです。バブル経済期の日本によく似た現象が今もフィリピンでは続いています。

島の北部の町に住む知人を訪ねた時、米不足の話が出たので実情を聞きました。すると、友人は台所の戸棚からカードのようなものを取り出して見せてくれました。そのカードを持って米の販売所に行くと、2キロまで売ってくれるのだそうです。大家族の家ではとても足りる量ではありません。買えるのは1日に1回と決められ、これではとても育ち盛りの子どもを養えないと嘆いていました。
それでも彼女は病院の事務の仕事をしているのでいい方だといいます。値段が跳ね上がり、定職を持たない人たちはとてもお米に手が出ないそうです。加えてトウモロコシや雑穀も値段が上がり、業者による投機や買いだめのせいだと人びとは話しています。

■高騰する米の値段に悲鳴をあげる人びと

宿舎でテレビを見ていたら、マニラでは、“米よこせ”のデモが起こっているというニュースが流れました。下町の人びとが密集して暮らす地域では、政府が特別に安い米を放出しているようなのですが、とても貧しい人びとにまでまわりません。全国的に展開しているファースト・フードのレストランは、提供するライスをこれまでの半分の量に減らしたそうです。それを受けたのでしょうか、デモ隊のプラカードに「ライス(米)ではなく、プライス(価格)を半分にして!」と書かれていました。高騰するお米の値段に人びとが悲鳴を上げている様子がよくわかります。

この米不測の時期、わたしたちが水牛を送っている地域はどうなっているのか、村の様子を見に行きたいと思ったのですが、オルモック・カナンガ周辺の農村地帯は現在も国軍による新人民軍の掃討作戦が続いていてなかなか村に入れません。ベトナム戦争の時のように、ゲリラとつながりがあると見られる村を孤立させる作戦なのでしょう。

そんな時、たまたま街に出てきた村人に出会い、様子を聞きました。それによると、現在、国軍は村を孤立させる作戦と同意に、農民組織を潰す作戦をとっているようで、その作戦に地主が一役買っていると言います。農民は不法占拠者として地主から警察に訴えられるなど、深刻なトラブルに見舞われています。前回、国軍との対話で水牛を取り上げないと約束したにもかかわらず、T村ではまたもや水牛を手放せと圧力をかけられているようです。

■食糧分配の格差をなくしたい

世界的に見ても、今米や穀類の不足が大きな問題になっています。国連機関の調査でも、30ヵ国以上の国で米不足による暴動が起こるかもしれないという報告があります。そこへ持ってきて、温暖化による天候不順、バイオ燃料への穀物の転用と、食糧をめぐる問題はますます貧困層に重くのしかかってきています。農民は米生産の主体であるはずなのに、土地から追い立てられたり、食糧不足で飢餓に瀕したりと、食糧の生産と消費の関係は世界的にヒズミがあるとしか思えません。日本で暮らしているわたしたちも対岸の火と言っているわけにはいきませんね。どうしたら食糧分配の格差をなくして、だれもが飢餓に悩まなくてもすむのか、レイテ島のさとうきび畑を見ながら考えさせられました。
共に困難をはねかえすところから、つながりを強めていけたらと思います。


 




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